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IWMS/FMソリューション「ARCHIBUS」コラム

拡大するファシリティマネジメントの市場規模について解説!

現在でも多くの企業が積極的に取り組んでいる「ファシリティマネジメント」についてご存じでしょうか。国や自治体だけではなく、大手企業や中小企業でもファシリティマネジメントの認知度が高まっています。
そこで今回は、現代で拡大するファシリティマネジメントの市場規模について詳しく解説していきます。ファシリティマネジメント業界における具体的な仕事についてもご紹介するので、参考にしてみてください。

ファシリティマネジメント業界について解説

まずはファシリティマネジメント業界について見ていきましょう。

ファシリティマネジメント業界とは?

ファシリティマネジメント業界はなんと2022年に489億米ドルの規模に達するほどに成長しました。
ファシリティマネジメントとは、施設や土地、居住空間の効率を最大化させるために活用する技術の統合システムのことです。建物本体だけではなく、建物に関わる土地や設備、居住空間などの環境まで対象に含まれています。
現代では、ビル管理やセキュリティー管理、スペース計画、設備保守、緊急時対応など、さまざまな場面で利用されています。
ファシリティマネジメントは住宅業界や銀行、金融サービス、医療、教育など幅広い分野で利用されているのが特徴です。
また、ファシリティマネジメント業界には3つのパターンの成り立ちがあります。
1つ目は、ファシリティマネジメントを担当していた企業が、グループ会社以外の業務も担当するようになったケースです。
2つ目はビルの管理に利用できる機器類を扱っていた企業が、その能力を生かしてファシリティマネジメントに乗り出したケースです。
3つ目は文房具メーカーやオフィス機器メーカーなどが、働きやすい環境を作る力を生かしてファシリティマネジメントに乗り出したケースです。
それぞれの成り立ちごとに得意とする分野や業務内容には違いがありますが、基本的には上記の3つのパターンによりファシリティマネジメント業界に入った会社が多いです。

ファシリティマネジメント業界の市場規模は?

現在のファシリティマネジメント業界の市場規模はどれほどなのでしょうか。
ファシリティマネジメント業界の市場は、かなり大きなものになっています。上記でもお伝えしましたが、2022年にはなんと489億米ドルの規模に達すると言われているのです。
さらに、2030年には世界のファシリティマネジメント市場規模は998億米ドルに達すると予測されています。とても考えられない数字が予測されており、どれほど市場規模が拡大しているのかが垣間見えます。
ちなみに、国内のファシリティマネジメント市場が約6.7兆円、中国とASEANを合計したファシリティマネジメント市場は約24兆円と言われています。
なんと、ファシリティマネジメント業界には売り上げ額が数千億規模に到達している企業もあると言われているのです。市場が確実に拡大しているため、今後もどんどん成長していくことが考えられます。

ファシリティマネジメント市場の動向は?

現在、ファシリティマネジメント市場の成長を促しているのはデジタル化の進展やクラウドベースのソフトウェアの導入の増加などです。コンピューターを利用した先進技術を建物管理に利用することで、人的資源への依存度を減らし、業務の効率化を図ることができます。

また、在宅勤務者や外出者、外注サービスなどを便利に管理でき、生産性を最大化させることもできます。現代でも幅広い分野で活用されているファシリティマネジメントですが、安全な職場環境の構築やコストの削減などにも利用されており、国や自治体も積極的に活用しているため、今後ますます力強い成長を遂げると予想されています。

ファシリティマネジメント市場の区分は?

ファシリティマネジメント市場の区分ですが、ソリューション、サービス展開、組織規模、市場規模、地域に基づいて分けられています。
ソリューション別では総合ワークプレイス管理システム、施設運営とセキュリティー管理、施設のプロパティマネジメント、環境管理などです。
サービス別では監査と品質評価、サポート、メンテナンス、コンサルティングなどです。
展開別ではオンプレミスとクラウド、組織規模別では中堅・中小企業と大企業のそれぞれ2種類ずつに分けられています。
市場規模別では金融サービス・保険・銀行、IT・テレコム、政府・官公庁、教育機関、小売、エネルギーなどに分けられており、地域別では北アメリカ、ヨーロッパ、アジア・パシフィック、中近東・アフリカ、ラテンアメリカの5つに分かれているのが特徴です。

ファシリティマネジメントの市場規模が拡大している要因

なぜファシリティマネジメントの市場規模はこれほど成長しているのでしょうか。実は、現代では日本でもファシリティマネジメントに積極的に取り組んでいる企業や自治体が多いですが、少し前まではあまり認知されていませんでした。
日本にファシリティマネジメントという言葉が渡ってきたのは早かったのですが、積極的に取り組む企業は少なかったのです。その時日本はバブル期を迎えていたため、ファシリティマネジメントに取り組まなくても経済が大きく回っていました。
しかし、バブル崩壊を迎え、建物を長く使い続けることが大切だという風潮が広まり、徐々にファシリティマネジメントに取り組むようになったのです。では、日本だけではなく世界でもファシリティマネジメントの市場規模が拡大している要因について1つずつ見ていきましょう。

外部の専門業者

先端の照明システムや太陽光発電システムなどを管理したり維持したりするためには、専門的なノウハウが必要になります。設備の管理や維持業務を自分の会社の総務部で担当するのではなく、外部の専門業者に依頼することでより効率よく管理できると考えている企業が多いのでしょう。
専門的なノウハウを学ぶのには多くの時間がかかります。自社の社員に勉強させるとなると、勉強している時間は業務が滞りますし、効率が下がってしまう可能性があります。
しかし、すでに専門知識を持っているファシリティマネジメント会社に任せれば効率よく管理できますし、従業員も有効に回せるので業務効率化が目指せるのです。

オフィスの変革

現在では日本でも「働き方改革」について大きな議論がされています。多くの会社でも働き方改革を導入し、従業員が働きやすい環境を整えているところも増えてきているのです。
ファシリティマネジメント業界では、さまざまなビジネスチャンスを期待できます。どのように改善したら生産性がアップするのか、従業員の満足度も上がるのかなどをアドバイスしてもらえるので、企業にとってもうれしい機会ではないでしょうか。
働き方改革に注目されている現代だからこそ、ファシリティマネジメント会社に依頼している会社が多いのでしょう。

デジタル化が進展している

ファシリティマネジメントの市場規模が拡大している要因

現代では人工知能やIoTなど、いろいろな機能が進化しています。
最短技術が積極的に導入されることで、省エネを目指しながらも快適なオフィス環境を整えたり、入退室管理で顔認証システムを使ったりなどしている会社が増えています。
ただ、このような取り組みは専門的な知識が必要になることが多いです。一般企業の場合は専門的なノウハウが少ないからこそ、知見のある会社に依頼しなければいけないのです。
デジタル化が進んでいるからこそ、専門的な知識を持つファシリティマネジメント業界の需要がとても高まっている傾向にあります。

統合ファシリティマネジメント(IFM)の登場

現代では総合ファシリティマネジメント、通称IFMが登場しています。
総合ファシリティマネジメントとはファシリティに関するアウトソーシングニーズを統合的に管理するサービスのことです。
グローバル化や組織規模の拡大に伴い、ファシリティの需要は増えています。総合ファシリティマネジメントを導入することで、統合的に組織の保有ファシリティを管理運営できるようになり、コストを適正化したり、マネジメントを効率化したりなど、さまざまな効果を期待できるようになります。

ファシリティマネジメント業界の主な仕事

「ファシリティマネジメント」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのような仕事があるのかわからないと疑問に感じている方もいるでしょう。ファシリティマネジメントの業務はとても多岐に渡ります。

設計・施工

設計の仕事では空調や入退室管理など、いろいろなシステムを設計しなければいけません。設計をするだけではなく、システムを導入する際の工事を担当する場合もあります。
お客様を満足させる設計をするためには、働きやすい環境や省エネの実現とともに、さまざまな費用とのコストバランスを取ることが大切です。
どれだけ働きやすい環境を作ったり、省エネ環境を実現したりしたとしても、圧倒的にコストが高ければお客様の満足にはつながらないでしょう。コストパフォーマンスの良さを重要視している方も多いです。そのような設計と費用とのバランスを取らなければいけないので、金銭面的な専門知識も必要になります。
また、施工の場合は作業する人の安全を守りながら、期日までに工事をしっかり終わらせる必要があります。スケジュールを徹底管理し、工事の遅れが出ないように人員を回したり、発注業務を速やかに行ったりなどして進めなければいけません。

営業

営業では建物や土地を保有している企業に対して、管理維持コストを下げたり、有効活用できる方法を提案したりします。扱う建物や土地の規模が大きくなればなるほど、顧客企業の総務部や人事部、情報システムなど、さまざまな部署を巻き込んで仕事を進めていかなければいけません。
また、設備だけではなく、不動産や人事、経営企画など幅広い知識が求められます。知識がなければお客様により良い提案をすることはできません。良い案を提案できたとしても、専門的な知識がなければいずれボロが出る可能性もあります。
営業は特に対人の仕事となるので、お客様から信頼を得るためにもいろいろな知識を得ておかなければいけないのです。

開発

上記でもお伝えしましたが、最近では世界中のデジタル化が進んでいます。デジタル化が進むと同時に、多くの企業でAIやIoTなどの先端技術を導入しています。
そのため、現在ではインターネットの先端技術の需要がとても高まっています。この需要に応えるためにも、最先端技術を役立てたサービスを開発するのは、ファシリティマネジメント業界の中でも大きな課題の1つになっています。
ファシリティマネジメント業界では自社の技術を高めることはもちろん、足りない部分を補うために他社と連携して新しいサービスを誕生させている会社もあります。新しいサービスを生み出すためには、豊富な技術と知識が必要です。
インターネットに関する豊富な知識や技術が求められるため、日々勉強しなければいけません。インターネットや精密機器が好きな方にとっては、向いている仕事だといえます。

保守・管理

管理業務では導入したシステムがしっかり作動しているかを管理しなければいけません。どれだけ精密なシステムだとしても、トラブルが起きることはあり得ます。万一トラブルが起きたときでも迅速に対応できるように、準備を整えておく必要があります。
また、保守している仕組みに問題点があった場合は、営業などを通して改善策を提案するケースもあります。
問題点があるまま使用を続けていけば、後々大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。大きなトラブルに発展すれば、取り返しのつかないことになってしまうリスクもあるのです。そのような危険性を回避するためにも、ファシリティマネジメント業界では徹底的な保守管理が行われています。
保守管理の仕事を行う際は、システムについて細かなところまで把握しておく必要があります。システムについて熟知していなければ、改善策を提案するどころか、管理もまともにできないでしょう。導入した各種システムについてどれだけ熟知しているかがキーポイントな仕事でもあります。

今後のファシリティマネジメントの市場規模

ファシリティマネジメントの市場規模が現在でもどんどん拡大していることをお伝えしました。では具体的に、今後どのように市場規模が変化していくのか気になっている方も多いでしょう。
2021年時点の世界のファシリティマネジメント市場規模は、431億米ドルと言われています。2022年から2030年にかけては年平均成長率が10.9%を予測しており、なんと2030年には市場規模が998億米ドルに到達すると言われているのです。
2021年で431億米ドルですから、9年後には倍以上の成長を遂げることになります。
431億米ドルといっても想像もつかないような金額なのに、それが倍以上に増えるとなればどれだけファシリティマネジメントの効果が大きいのかがわかりますね。
ただ、あくまでも予測ではあるので、本当に998億米ドルまで到達するかはわかりません。わからないと同時に、もしかしたら998億米ドルを超える可能性もあるということです。今後も計り知れない成長を遂げるとなれば、予測を超えることも十分にあり得るでしょう。

今後のファシリティマネジメントの市場規模

ひとえにファシリティマネジメントといっても、その中には組織の効率を最大化させるためにいろいろなツールや手法が含まれているのです。
ファシリティマネジメントは場所、技術、人材、プロセスの4つで構成されています。その中でプロジェクトやオペレーション、メンテナンスなどの管理サービスを提供することで、組織の業務効率化が図れるように体制を整えています。
ちなみに、世界のファシリティマネジメント市場で、今後最大のシェアを占めると予想されているのが北米です。北米では現在でも技術系ファシリティマネジメント企業が増えていますし、研究開発活動への投資が増加している傾向にあるからです。
さらに、北米ではスマートテクノロジーの技術が進んでおり、人工知能やクラウド分野の成長が世界でも群を抜いて早い傾向にあります。それだけではなく、航空業界や医療業界も成長しているので、ファシリティマネジメントの需要がどんどん高まっているのです。
もはやファシリティマネジメントソリューションに関する認知度が低ければ、市場成長が衰えると言っても過言ではありません。それほど、世界でも注目を集めているマネジメントなのです。

まとめ

今回はファシリティマネジメントの市場規模について解説しました。
現在の時点でもファシリティマネジメントの市場規模はとんでもない大きさになっており、2030年には998億米ドルに到達すると言われています。年平均成長率も10.9%を記録すると予測されており、今後とても大きな成長を遂げると言えるでしょう。
ファシリティマネジメントの業務は多岐に渡ります。建物や土地などの業務効率化を最大化するためには徹底的な管理を行わなければいけないので、専門的な知識が必要になることが多いです。
ファシリティマネジメントを会社に委託して、企業や不動産の管理を任せているところが多いため、これほどまでに大きな成長を遂げているのでしょう。

*記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。